「……雪乃ちゃんのことは、撮るんだ」


そう思うと…情けなくて、悔しくて。堪えきれずに涙が頬を流れた。



「…え、胡桃どーしたの?!!」

「泣くほどのことじゃないでしょ?ほら、もう泣かないのっ!」

「もういいじゃん、あんな暗そうな彼氏。このまま別れて新しい彼氏作ろうよ」

「…そうだ!放課後彼氏と会うんだけど、友達連れてきてもらうから!四人で出掛けよう〜」



好き勝手言う友人に囲まれながら、由吏のことを考えて一人胸を痛めていると─…


いつから教室に居たのか、まさに今話題のネタにされていた由吏が…突然私の目の前に現れた。



「……こいつ、ちょっと借りていい?」



一番近くに居た友人に声をかけた由吏。低い声で言い放った彼に少し怯えたのか…友人は何も言葉にすることなくただ黙って首を縦に振っていた。



それを確認した由吏は、放心している私の手をグッと力強く掴むと…そのまま歩き出して黙って教室を後にした。