私を見透かしたような言葉は優しい声色で、まるで一緒に迷ってくれてるみたいだ。

「どれもかわいくて……」
「お花お好きなんですね」
「か、買うのは初めてみたいなもので……」
「プレゼントですか?予算やイメージがあれば、僕も選ぶのお手伝いしますよ?」
「いえ……あの、自分に……しかも一輪挿ししかなくて……」
「いいですね。一輪お花があると、きっと気分上がります」

微笑みを絶やさない優しい接客に、切り花初心者のハートは撃ち抜かれっぱなしである。
しかしいつまでも迷ってるわけにも、優柔不断な自分に付き合わせるわけにもいかない。

ガーベラと手書きで書かれたポップのついたお花がかわいく思えて「これにします!」とピンク色を指さすと、突然の私の決断に店員さんはちょっとだけびっくりしながらも、すぐに「ありがとうございます」と笑顔で丁寧に一輪取り出しカウンターへと向かった。

「長さ、少し切っておきましょうか?」
「はい!」

あまりよくわからないそんなやりとりもそこそこに、さっと魔法みたいに丁寧にお花が包まれていく手際の良さに見惚れてしまう。
あの仕事が出来る山木さんがさりげなくとても褒めていたのもわかる気がした。
会計を済ませてお花を受け取ると、「ありがとうございます。またお待ちしてます」とまた来ない理由など見つからないくらいのとびきりの笑顔を向けられる。