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「にしても、天気持ちましたよね。ギリ」
「……ほんとギリ、だね」
「なーんかこの時期って雨多くないっすか?
これからお花見シーズンやで、ってときに限って」
「嗚呼、この分厚い雲……。
まるで今の私を表しているかのよう……」
「いやいや。先輩にアンニュイは無理っすよ」
「あ、ムカつきそう」
「予想の段階ならセーフですね」
「……そもそも、誰の所為だかわかってる?」
「なんでよ。俺はただ、注意してあげただけやん。
先輩が勘違いして、誤った道を目指さんように」
「その話はもういいんだよ。
今は、神崎くんが私に着いて来た現状について言及してるの。
こんな買い足し、絶対一人で良かったよ」
「だからー。それこそ、先輩が誤った道に進まんように導いてあげてるんやん」
「会場から目視できる程の激近コンビニ、どうやって迷えばいいのよ」
「何があるかわからんからね」
「あー……もう。ほんと恥ずかしい。
大勢の前で、あんなこと言われて……」
「もしかして、まだ怒ってんすか?
先輩がこの前の会議で『スクロール』のこと『ストローク』って終始言うてたん、バラしたこと」
「そっちじゃな……いや、それもだけど!」
「それか『先輩だけやと、年確で捕まって買い出しどころやない』って言うたこと?」
「そうだよ!!!私、完全に笑い者だったじゃん」
「でも実際されてたでしょ、確認。先輩だけやったら」
「され……るけど!
っていうかそれ、遠回しに身長のこと揶揄してない?」
「してませんよ、"遠回し"なんて。邪推やめてください」
「……邪はどっちよ」
「いやー、みんなオモロかったっすね。
『行ってこい、全力で行ってこい!』やって」
「ってか!そんな全力で行きたかったなら『代わりに自分が行きます』くらい言ってくれれば良かったのに。
居た堪れなくなって、私も一緒に出ちゃったけどさ」
「俺だけじゃ、持ちきれんと思ったねんもん」
「缶3本だよ!?」
「一人じゃボールペンしか持てないんで」
「大嘘付き。結局、全部持ってくれてんじゃん。
もー……絶対なんか言われるよ。
戻るの、勇気いるなぁ」
「……ほな、遠回りします?」
「いやダメでしょ。この缶、どうするのよ」
「走って届けてきます」
「いや、それこそ私が来た意味。
いいよもう。覚悟決めて戻るから」
「えー……」
「何。文句?」
「違う。
でも、こんな時に切れるカードが、俺にはナイ」
「……何のこと?
あ。もしかして、トランプしたいとか?
私、大富豪得意だよ」
「どんな発想……いや。うん。
トランプ良いっすね。買いに行こ」
「じゃあ、お店戻って……」
「そこのコンビニには無かったっすよ」
「え、見たの?さっき?嘘でしょ?
今時のコンビニ、置いてるとこもあるよ」
「いや、ここのコンビニにはナイ。500%ナイ。
やから向こうの100均いこ」
「遠いじゃん!」
「図らずも遠回りやね」
「だから。この缶どうするのって」
「走って届けてくるから、ここで待っててください」
「えっ!?あ、ちょっと!!
そこまでする必要あるーーーー!?
…………って全然聞いてないし。
なんであんな楽しそうなんだ」
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