「んっ」

 息のタイミングがわからない私からは、鼻に抜けるような声が漏れた。

 唇が離れたので、軽く息を吸い込んだタイミングでまた合わさる。今度は角度を変えて何度も触れ合った。

「もう絶対に離さない。不安にさせてすまなかった」
「ううん。凛太郎さんは大丈夫だったの?」
「ああ。もう俺達の前には姿を現さないよ」

 彼女から言われた言葉の数々は嘘だったということだ。

 どうして? と疑問に思うこともあるけれど、凛太郎さんが解決して敢えて教えられないことは、私にとって聞かなくてもいいことなのだろう。

 こうして腕の中で守られているのがすべてだと思えた。

 凛太郎さんの温もりが私を安心させてくれる。火事の時も凛太郎さんに守られていたのだ。

 これからは、凛太郎さんと共に歩んでいきたい。

 二人の気持ちが一つになって新しい未来が始まる――