シートにタオルを敷いてその上に座ってシートベルトを締めた。

 同じように運転席にタオルを敷いた凛太郎さんが乗り込み車を発進させる。

 海岸から目的のリゾートホテルまでは、車で五分ほどで到着した。真っ白な建物は、空の青さに映えている。

「ステキ……」

 建物を見上げて素直な感想が口から漏れた。今までの私の人生では経験することのなかったシチュエーションだ。

 こんなことが現実に起こってもいいのだろうか。

 凛太郎さんの腕に掴まりついて行く。

 フロントで名前を告げると、数分前に予約したばかりなのに、丁寧な対応をしてくれる。

「今夜のお食事の時間は何時にいたしましょうか」
「そうだな……7時は空いてますか?」
「はい。では、7時に最上階のレストランへお越しくださいませ」
「ありがとう」
「クリーニングに出される服は、のちほどお部屋まで取りに伺います」
「よろしくお願いします」

 流れるように交わされる会話に戸惑いが浮かんでいるのは私だけのようだ。