「ほら」

 車のトランクからタオルを出して渡してくれる。

「ありがとう」

 海水で靴まで濡れてしまった。

「かなり濡れたな。しかも海水だから気持ち悪い……」
「タオル敷いても車濡れちゃいますね……」
「車は濡れてもいいけど、こんまま帰ったら風邪引きそうだ」

 そういうと、スマホを取り出して何か検索している。

「なあ」
「はい」
「明日休みだし、近くのホテルに泊まらないか?」
「え?」
「平日だし、今からでも予約できそうだ。人気のリゾートホテルで温泉やプールまであるぞ」

 魅力的なお誘いだ。でも、付き合ってもない男女がホテルに泊まるのはおかしくないのだろうか。

 考え込んでいる私の気持ちを凛太郎さんは察したようだ。

「ひまりの気持ちを無視して嫌がることは絶対にしない」

 そこまで考えてくれてるのに、拒否する選択肢はない。

「信用してる」
「じゃあ予約入れるな」

 手元のスマホを操作してすぐに予約を入れてくれた。

「じゃあ行こう」