今となっては、母もいないしアルバムも燃えてしまったので、確認する術はない。

 でも、私の記憶の片隅に残っていた。

『お母さん、私幸せになれるかな? ううん。なるからね!』

 空を見上げて心の中で誓いを立てる。

 波打ち際で空を見上げて物思いに耽っていると、突然ザパーンと大きめの波が私と凛太郎さんの腰まで濡らす。

「きゃあ」
「うわぁ」

 視線を合わせて笑いを堪える。

「ふふふっ」
「ぷはっ」

 そして我慢できなくなって声を出して笑ってしまった。

「やられた……」
「びちょびちょになっちゃったね」
「車にタオルがあるはずだから戻ろう」
「うん」

 きっと今日のことは一生の思い出になる。また思い出した時、凛太郎さんが隣にいて一緒に笑いたいと思った。

 私の思い描く未来には凛太郎さんがいる。凛太郎さんの思い描く未来にも私がいたらいいなと思いながら隣を歩いていた。