隣を見るとイケメンの凛太郎さんがいるのだ。

 時間が経つにつれて、私の中の凛太郎さんの存在が大きくなる。

「俺の顔になにかついてるか?」
「へ?」
「穴が開きそうなくらい視線を感じるから」
「す、すみません」
「ぷっ、謝らなくていい。少しでも俺のことを意識してくれたら嬉しい」

 言われなくても、すでに意識している。知り合ったばかりだとは思えないくらい安心感があって魅力的なのだ。

 時々、会話が途切れるけど、それすら苦痛ではなく心地よい。

 流れる景色を楽しんでいると、車は高速を下りて海沿いへ出た。

「わぁキレイ」

 どこまでも続く水平線と晴れ渡った空。都会では見られない景色が広がっている。

「癒されるな」
「……うん」

 海に見とれて、頷くことしかできなかった。遠くには船が見えている。

「窓開けてもいい?」
「ああ」

 潮の匂いと海風が車の中へと流れ込んできた。大きな海を見てると、自分自身がちっぽけに見える。

「ひまり」
「ん?」