最上階の五階に着くと、高級感溢れる絨毯敷きの廊下だった。タワーマンションからここへ引っ越したのも頷ける。

「今は主人が子供達を見てるんだけど、すぐに二人で出たいからお願いしてもいい?」
「もちろんです!」
「何かあったらすぐに連絡して。はい、これが連絡先」

 名刺を渡された。

――ガチャ

「ただいま」
「「ママー」」

 扉を開ける音が聞こえたのか、玄関へ双子が走って出てくる。

(かい)(りく)、いい子にしてた?」
「「うん」」

 双子ならではの、返事がシンクロしていた。

「ひまりちゃん、息子の海と陸。海と陸、ひまりお姉ちゃんよ」
「こんばんは」
「だれ?」
「凛太郎の彼女よ」
「彼女⁉ 凛子さん、違いますよ!」
「ぷっ、そんな向きにならなくても。子供達に説明するのは難しいから、うちではそういうことにしといて」
「は、はい」
「ママとパパ、出掛けなくちゃいけないから、ひまりお姉ちゃんと遊んでもらってて」
「「う、うん」」

 若干不安そうだけど、聞き訳がいい。