「助手席に乗って」
「はい」

 私がシートベルトを装着すると同時に、車はもの凄いスピードで発進する。思わずシートベルトを握りしめて目を瞑ってしまった。

「あら、大丈夫?」
「は、はい」

 凛太郎さんの運転とは違いスリリングだ。

「ねえ、凛太郎のことどう思う?」
「へ? どうとは?」
「うーん、そうね。容姿はまあまあじゃない?」
「そうですね! うちの先生と園児がイケメンって言ってました!」
「……。ひまりちゃんは? 好みじゃない?」
「好み……背が高くてイケメンだとは思います」
「何? イケメンに興味ないの?」
「そういう訳では……。でも、容姿よりも中身だと思ってます」
「それは私も賛成よ! 容姿だけで中身が空っぽな人間をたくさん見てきたから」
「ぷっ」

 お姉さんの言い方が面白くて思わず笑ってしまう。

「あら、面白いこと言ったかしら」
「お姉さんの言葉に説得力があったので」
「そう? それよりお姉さんってなんかちょっと」
「すみません。勝手に」