「で、さっきの話に戻るけど、今夜うちで子供達の面倒を見てもらえないかしら。両親も予定があって、ダメ元で凛太郎のところへ来たのよ」
「そうなんですね。私でよければ」
「お礼に服なんてどう?」
「これだけ良くしてもらってるのに、お礼なんていただけません」
「まあ、それはあとで。じゃあ、急いで準備してもらえる?」
「わかりました。あっ、凛太郎さんには……」
「待ってる間に私がメモを書いとくわ!」
「ありがとうございます」

 お姉さんのマンションでお世話になっていて断る選択肢はない。

「お待たせしました」

 部屋から鞄を持ってリビングに戻ると、お姉さんがメモを書き終わったところだった。

「じゃあ行きましょう」
「はい」

 エレベーターに乗って着いたのは地下駐車場。来客用と書かれたスペースには、イメージ通りの真っ赤な高級車が止まっていた。

「乗って」
「は、はい。あの、どこに」

 こういう時は、助手席か後部座席のどちらに乗るべきなのだろうか。