「あの、保育士を」
「そうなの? 尊敬するわ! 自分の子供の世話だけでも大変なのに、他人の子の面倒見るなんて私は無理ね」

 ハッキリとものを言う目の前の女性に思わずクスッと笑ってしまった。

「あら? 何かおかしいこと言った?」
「い、いえ」
「ところで凛太郎は?」
「お、お仕事です」

 凛太郎さんを呼び捨てにする関係で、でも会話からは子供がいる母親のようだ。関係が想像できなくて、混乱してしまう。

「ねえ、今からうちの家に来ない?」
「へ?」
「少しの間、子供の面倒を見てくれないかしら」
「ええっ」
「嫌なら仕方ないけど」
「嫌とかではなく……えっと」
「何?」
「どちら様でしょうか?」
「……あら、ごめんなさい。私ったら自己紹介もしてなかったわね」
「はあ」
「私は凛太郎の姉で凛子よ」
「お姉さん……って、ワンピースを用意して下さった?」
「そうそう。着られたかしら」
「はい! ありがとうございました。あっ、このマンションも?」