「ひまりせんせい、おはようございます!」
「香奈ちゃんおはよう。今日も元気ね」
「うん!」
「先生、よろしくお願いします」
「はい。お預かりします」

 ここは『つぼみ幼稚園』の年長クラス『ぞう組』の教室。担任の私、坪井ひまりは短大卒業後この幼稚園に就職して五年目になる。

 三年目から担任を持ち、今年は年長クラスを任された。

 『つぼみ幼稚園』は、小規模の幼稚園で送迎バスはなく、保護者が教室の前まで送迎してくる。

 年少が二クラス、年中になると一クラスに合併し年長もそのまま持ち上がるのだ。年中になると一クラスの人数が増えることになり、さらに年長では行事も増えるので、年長クラスの担任が一番大変だと言われている。

 私よりもベテランの保育士もいる中で抜擢されたのは光栄なことだ。園長先生からは、適任だと言ってもらえたので、期待を裏切らないように頑張っている。

 一人一人の様子をしっかりと観察し、的確に指導する。優しいだけではなく、悪いことはしっかりと叱り子供達と向き合う。

 当たり前のことのようで、保護者の顔色を窺うとなかなか難しいことなのだ。