目の前で食べているひまりを見ると、後遺症がなくて良かったと思う。

 この仕事をしていると、何度も辛い現場を経験してきた。火災はもちろん、不慮の事故、悲惨な現場を目にする。そのたびに、救えなかった命に胸が押し潰されそうになるのだ。

 火事で全焼して何も残ってないひまりは、一から生活用品を揃えなくてはならない。その新たな始まりを一緒に迎えられるだから、俺にとっては嬉しいことでもあった。

 俺がこの手でひまりを守ると固く誓う。

◇◇◇

「はあ、お腹いっぱい! 美味しかった!」
「デザートは? 食べなくていいのか?」
「え? いいんですか?」
「クククッ、ああ」

 もうすでに大食いだとバレているし、遠慮なくいただくことにした。

 デザートを食べてる間ずっと凛太郎さんからの視線を感じる。

「あのー、いりますか?」
「いや」
「そうですか……私の顔になにかついてますか?」
「いや」
 
 ずっと視線を感じるけれど、気にせず食べ続けた。