ショッピングモールのレストラン街に向かった。きっと休日だと混み合っているはずだけど、今日は平日なので空いている。いつもなら、幼稚園で子供達と給食を食べてる時間。入院中に園長先生と美里先生がお見舞いに来てくれて、退院して落ち着くまでお休みをもらったのだ。

「ひまりは何が食べたい?」
「私? 好き嫌いはないです!」
「じゃあ、好きな物は?」
「肉! かな……」

 思わず肉と答えてしまって恥ずかしい。普通女の子なら、パスタとか言いそうだ。

「肉か。いいな。どうだ? 退院祝いに焼肉なんて」

 凛太郎さんが指差す先を見ると、少し高級な焼肉屋がある。

「ゴクッ、い、いいんですか?」
「ククッ、決まりだな。たくさん食べるといい」
「本当ですか? 引かないで下さいね」
「ああ。楽しみだ」

 実は、私は小さいけれど一般的な女性よりも大食いだ。今まで男性と食事の機会がなかったから良かったけれど、そんな機会がやってきたら隠そうと思っていた。