「私は25歳です。凛太郎さんは?」
「俺は30歳。ひまりより五歳もおっさんだな」
「おっさんって、そんなことないです! 消防士さんなんですよね?」
「ああ、厳密にいえばレスキュー隊員だな」
「そういえばオレンジの服を着てましたね!」
「ああ、よく知ってるな」
「実は消防署の見学から戻った子供達に、オレンジの服と紺色の服の人は何が違うのって聞かれて調べたんです」

 子供達に聞かれるまで、特に疑問に思うこともなかった。だから、慌てて調べたのだ。

「鋭い質問だな」
「そうなんです。子供達凄く喜んでたし、しっかり学んでいました。凛太郎さん達は子供達にとって憧れのヒーローです」
「それを聞いたら署員も喜ぶよ。他になにか聞きたいことはないか?」
「ご家族は? 突然、私と同居して怒られませんか?」
「ははっ、もういい歳だし早く結婚しろとは言われても、プライベートなことは口出しされないよ」
「それならいいんですが……」
「ひまりは住所を知らせる親戚は?」
「いません。祖父母も母も亡くなっていますし、父とは一切交流がないので」