紙袋の中には、ニットのワンピースとサンダルが入っていた。よく考えたら、明日から何を着てどうやって生活をしたらいいのか不安しかない。

 凛太郎さんの存在がどれだけありがたいか実感する。

「お待たせしました」
「似合ってる」
「ありがとうございます?」

 サラッとそんなことを言われて照れてしまった。

「行こう」

 自然と手を繋がれて、ナースステーションまで行くと全員が凛太郎さんをうっとりと見つめている。

「お世話になりました」

 そして凛太郎さんが当たり前のように看護師さん達に挨拶をした。

「お、お世話になりました」
「お大事に! カッコイイ彼氏さんで羨ましい!」

 なんて言われる始末。彼氏ではないけど、ここで否定するのもおかしいと思って反論しなかった。

「ひまり、行こうか」
「は、はい……」

 イケメンの笑顔は破壊力抜群で、凛太郎さんのことをまだ男性として意識していない私でもが頬を赤らめてしまう。

 そのままエレベーターに乗り込み、一階の受付も素通りして外へと行こうとしていた。