「君と消防署で会った時から気になっていた。それが、火災現場で再会して俺が救出するなんて、神様がくれたチャンスを逃すわけにはいかないだろう?」
「……」
「まあ、いきなり病院のベッドの上で言われても戸惑うだろう。でも、病院を退院したら、宿なしだろう?」
「はあ……」
「だから、最初は緊急事態の同居だと思ってくれたらいい。俺の身元もわかっているし安心だろう?」

 勤め先の消防署を知っているし命の恩人だ。普段の私なら慎重に判断できていたけれど、今は先行きが不安の方が勝っている。

「ご迷惑じゃ?」
「独身で彼女もいないし、誰に遠慮することもない。余ってる部屋があるし、消防署から近い所に住んでるから、幼稚園も近いだろう?」
「でも……」
「もちろん、君の嫌がることはしないと誓うよ」

 今の私にとって、好条件でしかない。完全に大崎さんのペースで話が進んでいることにも気づいていなかった。