地上に着くと救急車が待機している。

「お願いします!」

 彼女を救急隊員へ託して、俺は消火活動に合流した。もちろん彼女が心配だが、俺はレスキュー隊としての仕事があって、悔しいが付き添うことはできない。

 深夜に発生した火災は朝方まで消火活動が続き、団地は全焼して鎮火した。

 お年寄りが長年住んでいる部屋は、荷物が多く燃え広がってしまったようだ。後日、調査の結果火元は漏電によるものだと判明する。

 彼女との突然の再会――

 無事に救出できたが、一歩間違えれば手遅れになっていた。彼女を抱き上げた瞬間、俺が守りたいと強く感じたのだ。

 女性に対して、しかも出会ったばかりの彼女に対してこんな気持ちになるとは自分自身驚いている。

 でも、俺の本能が彼女だと告げているのだ。

 一人暮らしで何もかもなくした彼女はこれからどうするのだろう。

 俺はすぐに行動へと移すことにした。

◇◇◇