「「「ありがとうございました」」」

 消防署を見学して、満足顔の子供達とお礼を言って幼稚園へと戻る。

 帰り道は、興奮状態で話をする子や疲れて歩くペースが落ちる子など、幼稚園へ着くまで気が抜けないのだ。

 無事に幼稚園へ辿り着くと給食の時間が待っている。

 午後は、消防署での思い出の絵を書いて、バタバタとお帰りの時間を迎えた。

「先生さようならー」
「さようなら」

 子供達を見送って職員室へ戻り、やっと一息つける。

「美里先生、今日はありがとうございました」
「お疲れ様。無事に終わったわね」
「はい! みんな楽しかったみたいで、一生懸命絵を書いてくれました」
「私も楽しかったわ。イケメンも見られたしね」
「もう!」
「ふふっ、目の保養よ」

 美里先生の次は、消防署にもお礼の連絡を入れる。

――トゥルルルル、ガチャ

「港浜東消防署の大崎です」
「つぼみ幼稚園の坪井と申します。本日のお礼をと思いまして、お電話させていただきました」