姉の夫は、会社を経営していて顔が広い。弁護士や政治家、探偵に至るまであらゆる職種と繋がっていた。

「急ぎ?」
「ああ。ひまりが幼い頃に離婚して音信不通だったのに、急にひまりの前に現れたんだ。しかも俺を見て逃げて行った」
「それは嫌な予感しかしないわね」
「ひまりが泣く姿をみたくないんだ」
「凛太郎がそこまで必死になるなんて、初めてじゃない? あんないい子いないわよね。わかったわ」

 もう一度ひまりに接触してくるまでに解決したいと思っていた。

 男が接触してから初めて、勤務で迎えに行けない日。

 俺は心配で朝から落ち着かない。

「おい! 大崎!」
「はい! すみません」

 勤務中のトレーニングで注意されるほど、集中できないのも初めてだ。

「はぁ~」
「凛太郎、大丈夫か?」
「晴馬……」

 同僚にも心配される。

 モヤモヤとした気持ちのまま昼休憩している時だった。

 義兄から待っていたメールが入る。