「誰?」
「会いたかった……」

 感慨深そうに呟いているけど、私にとっては知らない人で恐怖を感じるほどだ。

「ニュースで火事のことを知ったんだ」
「はあ……どちら様でしょうか」

 どうして私が以前住んでいたところを知っているのか疑問しかない。

「そうだな。俺はすぐにひまりだとわかったが、ひまりは小さかったから覚えてないか」
「小さかったって……」

 まさかとは思うけれど、思い当たる人は一人しかいない。でも正解なら、今頃どうしてのこのこと会いに来られるのだ?

「ああ。ひまりは俺の娘だ」
「‼」
 
 やっぱり……。私とお母さんを捨てて養育費も払わずに今まで連絡もなかった父。記憶にも残っていないので、ただの知らないおじさんだ。
 
「今頃何しに来たの?」
「ひまりが心配で……」
「どの口がそんなことを……。心配なら、あそこへ住んでるときにいつでも来られたでしょう?」
「そうなんだが……」

 どうも歯切れが悪くて嫌な予感がするのだ。

「もしかして、最近ずっと視線を感じてたのって」
「……」