4月もあっという間に過ぎてGWに突入した。

結ちゃんの七尾くんから落とそう作戦で、見事に協力を得たらしくGWは4人で遊びに行くことになった。

目的地は遊園地と水族館が一体になったテーマパーク


家からは電車で1時間ほど。
結ちゃんと七尾くんは別方向からということもあり、テーマパークの最寄りで待ち合わせとなった。

真緒くんとは、特に待ち合わせをせずお互いに向かう予定だったが、それは家が近所ということもあり、家を出るとしっかりと家の前で会ってしまった。

「おはよう!」
「おはよ」
「真緒くん。」
「なに。」
「2人に会う前まで一緒にいかない?」
「どうせ同じとこ向かうんだし、いこ」

2人で1時間。一緒に過ごすのは久しぶりだった。
最初は何話そうと迷っていたけど、話始めれば些細な笑い話から小さい時の話まで、話題は尽きなかった。

"次は鷺ノ駅〜"

あっという間にテーマパークの最寄り駅に着いてしまった。

「じゃあまた後で」

電車を降りた瞬間、他人へ戻った。



ピコン
LINEには改札前集合と結ちゃんから来ていた。

真緒くんと少しズレるようにコンビニへ寄ってから改札へ向かった。

改札へ向かうともう3人とも揃っており、1番最後の合流となってしまった。

「ごめんなさい、遅くなりました。」
「全然大丈夫!冴ちゃん、遅刻したわけじゃないし」
「そうそう、私も早く着きすぎちゃったから!」

優しいみんなに囲まれながらテーマパークへ向かった。


まずは水族館から行くことに。

「みてみて!クラゲ!!可愛い!」
「だなー」
とにかく嬉しそうに真緒くんに話していた結ちゃん。
真緒くんもちゃんと反応してあげている。

白いワンピースにヘアアレンジもしてThe女の子。
今日もとても可愛かった。真緒くんとのデートに気合いが入っている様子がとても伝わった。

お似合いだなあ〜
そんな風に考えていると

「そういえば、冴ちゃんは好きな人とかいるの?」
「え?!私……ですか?」

真緒くん・結ちゃんと少し離れていたこともあり突然、七尾くんからの質問が飛んできた。

「そう、結は真緒が好きって聞いてるから完全に協力してるけど冴ちゃんはどうなのかなって」
「えーっと…特にいませんね。」
「好きなタイプとかは?」
「あまり考えたこと無かったかもです」
「そうなの?冴ちゃんモテそうなのに。」
「いえいえ、全然です!」

好きな人・好きなタイプか。
幼稚園での初恋は真緒くんだったけど、それ以降特に好きな人がいたことはなかったので考えたことが無かった。

しいてあげるなら、『真緒くんみたいな人』なのかもしれない。

水族館を進んでいくとイルカショーをするステージに着いた。

30分後にイルカショーがあるということで場所取りをして待つこととなった。
すると、横から結ちゃんが耳打ちをしてきた。

「ねえ、冴」
「なに?」
「この後、真緒くんと2人きりで遊園地ゾーン行きたいから協力してくれる?」
「もちろん!七尾くんにも伝えておくね。」
「ありがとう」

結ちゃんへの協力。結ちゃん頑張れと応援する気持ちと共に少しだけ胸が痛んだことも感じた。
この痛みはなんだろうか。体調不良の前ぶれかとも思い、最後まで楽しめるか少し心配になった。

イルカショーの途中で七尾くんにもこの後の予定を伝えて、ショー終わりの混雑を上手く使い結ちゃんたちと離れることに成功した。

「無事成功したね!」
嬉しそうに七尾くんが私にブイサインを見せる。

「上手くいって良かったです!」

ピコン
18時に駅集合で。ご飯はみんなで食べよ!

結ちゃんからLINEが来ていた。
18時まで後5時間もある。
とりあえず18時に駅集合を七尾くんに伝えた。

「後5時間か〜。冴ちゃんどこか行きたいところある?」
「行きたいところ…観覧車乗りたいです!」
「じゃあ観覧車いこ!俺、ジェットコースター乗りたい!冴ちゃん乗れる人?」
「乗れます!乗りましょう!」

七尾くんがお話上手なこともあり、たくさん話すことが苦手な私も、なんとか話もしながらアトラクションも楽しみつつ、もう一度水族館を楽しんだりしながら5時間を過ごした。


18時。

約束の時間。駅に行くと、嬉しそうな結ちゃんと疲れた様子の真緒くんが居た。
きっと、ハイテンションな結ちゃんにたくさん振り回されたのだろうと察した。

ご飯は回転寿司へ行くことにした。

「てか、快。なんで連絡取らなかったんだよ」
「え?!連絡なんか来てた?あ、俺スマホの電源切ってたわ」
「携帯の意味ないだろ」

きっと真緒くんは合流しようと思って七尾くんに連絡していたのだろう。みんなの連携プレーも知らず。

「片桐も伊藤に連絡してたんだろ?」
「うん、でも冴ちゃんも繋がらなくて…」

結ちゃんからのキラーパスが来た

「あ…うん、なんか電波が悪かったのか…も?」
「はあ…もう過ぎたことだししょうがないな」

なんとか真緒くんも納得したようだった。


食事も終え、解散となった。

1度は分かれたものの、同じ電車ということもあり真緒くんとはホームで会った。

「なあ、冴?」
「なに?」
「さっきの嘘だろ」
「なんのこと?」
「電波が悪かったってやつ」
「嘘じゃ…ないよ?」
「冴の嘘は昔から分かりやすいの」

そう言うとおでこをつつかれた。

「真緒くんが知らなくてもいいこともあるんだよ」
「1人前なこといって」
「もう1人前だよ、高校生だもん」
「冴はまだまだだ」

そんな張り合いをしながら、楽しい思い出と共に電車に揺られ帰った。
昔から、確かに私の嘘は全て真緒くんに見抜かれていたなあ。としみじみ思い出してもいた。