「そうだ。志那、知っていたか?

この病院に今話題の救世の力を持った人が来たんだよ」

「そうなのですか?それは知りませんでした」

「ああ、実は俺にもその力を使ってもらったらどうかって聞かれたんだ。

だけどやめた。ゲームとかでもあるだろ?癒す代わりに命を削るって。

あれだったら可哀相だなって思ったんだ」

志那はきっと知らないだろうと思ったから、最後に驚かせるつもりで。

やっぱり志那は驚いていたのだけど……妙にあっさりしている。気のせいか。

別れ際。手紙があるとはいえ、別れ難い。なんて事を思っていたら突然、

「貴方みたいな人、私は好きです」

またそれはあっさりと、何時ものあの笑顔で。