本当はもう辛いけれど、こう書く事で自分を励ましているようだ。

志那に自分の気持ちを悟られたくもなかったし。

辛くない辛くない辛くない…………言えば言うだけ虚しいな。

そっと封筒に入れたそれを、看護師さんに預ける。

「俺がいなくなったら黒ワンピースを着た、セミロングの女の子に渡してほしい」

とそう言って。もう未練はないと思う。心おきなく死に立ち向かえる。

そうしてやってきた翌々日。天気予報は予想通り雨。

志那の苦手な雨の日に俺はいなくなる。志那にとって雨に対する印象、変わるのかな?

「ありがとう」

何かを腕に刺される感触。ああ、人生の終わりだなって思う。

二度と見る事のない景色を見て、ゆっくりと瞳を閉じる。