お昼の後の体育はキツい。

体育館のステージ側半分では、男子がバスケットボールをやっていて、更衣室側半分では女子がバレーボール。

杉谷くんの姿はなかった。

「祈歌《きう》〜バレーとか手痛くなるから嫌だ〜。バスケの方がまだマシだよ〜。」

2人して体育は苦手だ。

「サボれば良かったぁ。」

「サボったら単位が…。」

「祈歌は真面目さんだなぁ。1回や2回平気だって。それにまだ、1年だし。」

杉谷くんは堂々とサボってそう。
授業中なんて、いつも寝てるし。しかも席1番前なのに、堂々としすぎ。

「頑張ろ。帰りにさ、クレープ奢るから。」

私がそう言うと、葉南は目をキラキラさせて、苦手なバレーボールを一生懸命頑張った。もちろん私も。

体育が終わる頃には、2人とも手首が痛くて、バレーボールがもっと嫌いになった。

クラスメートで、バレー得意な女子たちは、すごく楽しそうで羨ましかった。

私も、出来るようになったら楽しめるのかな。でも、運動音痴だし、体育嫌い。

帰りのSHR(ショートホームルーム)の時も、杉谷くんは姿を見せなかった。カバンもなかったし、お昼の後帰ったのかも。