「メロンパンください!」

私たちの番がやってきて、葉南《はな》は購買のおばちゃんに言った。だけど残念ながら、私たちの前に並んでいた人が買ったのが最後だった。

「めちゃくちゃ人気じゃん。じゃあ、何がいいかなぁ。あ、フルーツサンドにしよっと。祈歌《きう》は?」

イチゴとオレンジのフルーツサンドは可愛くて、私もそれにしようかなと思ったけど、隣にピザパンがあったので、私は迷わずそれを選んだ。

「祈歌って、ほんっとピザパン好きだよね。トマトとチーズ好きでしょ!」

「大好き。組み合わせ最高。神だから。」

「分かる〜。あ、ごめん、トイレ行きたくなってきた。先に戻ってて。」

葉南はそう言うと、買ったパンを私に預けトイレへと急いだ。

私はパンを抱きしめて、自販機で缶コーヒーを購入。

「うっそ。ブラック飲めんの?」

声がして振り返ると、噂の一匹狼が居た。

私の持ってる缶コーヒーを見つめてる。

間近で見る事なんてなかったけど、今は至近距離。

綺麗な二重で長いまつ毛。顔の輪郭も綺麗。逆三角形みたいな、っていうか小顔じゃん!

美形ってみんなが言うの、本当に納得。だけど…

「飲めるけど。コーヒー好きだし。」

この人、悪い噂しかないから、正直関わりたくない。