寝ていたら、少し痛みがマシになってきた。

キーンコーンカーンコーン

お昼時、葉南が保健室まで迎えにきてくれて、私は葉南と一緒に食堂へ。

その時、自販機の前で杉谷くんの姿を見た。

顔には絆創膏。腕まくりをしてるその腕には、包帯が巻かれ、昨夜の殴り合いがどれだけ酷いものだったのかを、思い知らされた。

こんなにも傷だらけで、痛々しくて、だけど、そんな彼を見る周りの目は冷たいもの。誰ひとり、心配をする者は居なかった。

心配をしたのは、たった2人だけ。葉南と保健室の先生。私も心配はしてるけど、大丈夫?って聞く勇気がなくて…。

「祈歌《きう》?」

食堂になかなか入ろうとしない私を、葉南は呼んだ。

「パスタ食べよ!」

「あ、うん!」

私がもし、杉谷くんの立場なら、きっとひとりなんて耐えられない。寂しくて、苦しいと思うから。

「祈歌ちゃん、具合大丈夫?」

葉南と向かい合わせでパスタを食べていたら、クラスメートが私に声をかけてくれた。

「うん、だいぶ良くなったよ。心配ありがとね。」

「大丈夫なら良かった〜。無理はしないでね?」

みんな優しい。
杉谷くんも心配してくれたし、本当はありがとうって伝えたいけど…。