ドアの開く音がして、

「いいから、戻りなさい。」

先生の声の後バタンっと、ドアの閉まる音がした。

「…あ、あの、先生?」

私はそっと、カーテンを開けた。

「早瀬さん、起こしちゃった?ごめんなさいね。」

「いえ、大丈夫です。あの、杉谷くんだったんですね、寝てたの。」

「起こして、教室に戻るよう言ったわ。ほんっと、杉谷くんって生意気なのよね〜。でも、早瀬さんの事、すごく心配してたし、悪い人ではないんだけどね。」

なんで、私の事を心配なんか。

コンコン

ドアが開いて、入って来たのは心配そうな顔をした葉南《はな》だった。

「具合大丈夫?」

「女の子の日来ちゃって。寝たら、少しは良くなるかなって。」

「そっか。辛いよね。早退は?するの?」

「ううん、しない。パスタ食べたいし、それに映画楽しみだから。」

「無理だけはしないでね?あ、そうだ、ノート書いとくから。ゆっくり休んで。お昼また来るね!」

4時間目の授業のため、葉南は教室へ戻って行った。

授業中、葉南から心配のメールと、数学の愚痴が届いた。私は、布団の中で返信をする。

【数学意味不明!調理実習がしたい〜】

葉南はお母さんとよく料理をするって聞いた。

お菓子作りも得意だから、今度葉南のお菓子食べたいなぁ。