出来上がった曲は、わたしのイメージ通り、いや、それ以上のものだった。
 爽やかで甘酸っぱいメロディーラインが男性デュオのハーモニーにぴったりだと思った。
 発売は初夏に決まった。
 
 発売元の音楽会社が広告宣伝に力を入れ、ミニ・ライヴを数多くこなした結果、男性デュオはテレビのベストテン番組に出るようになった。
 すると、口ずさみやすいシンプルなメロディーラインが多くの人に支持されたのか、予想以上のスピードで売上を伸ばしていった。
 しかも10代や20代だけでなく流行のJ・POPについていけなくなった30代や40代の層までファンが広がっていったので、最終的に20万枚のヒットになった。
 その結果、印税として340万円が入ってきた。
 わたしは心に温めていたことを実行することにした。