現実は厳しかった。
 仕事は単調かつ重労働でしかなく、機材管理や持ち運び、撮影準備や細々(こまごま)としたサポートの繰り返しで肉体的にも精神的にもハードなものだった。
 その上、カメラマンが直情型の男で、ほんの些細なミスに対しても怒声が飛んできた。
 ミスをしていない時でも腹の虫の居所が悪いと怒鳴られた。
 それは理不尽としか思えない仕打ちだったが、それでも家業を継ぐという明確な目標を持っていたので結城は耐えた。
 耐え続けた。
 そして、カメラマンの技を盗めるだけ盗もうと五感を研ぎ澄ませた。