本名での応募に躊躇(ちゅうちょ)したわたしはペンネームを考えた。
 色々な案を考えたが、ある日、本名の漢字〈才〉〈高〉〈叶〉〈夢〉を組み替えることを思いついた。
 高夢才叶。
 その瞬間、新しい一歩を踏みだせそうな予感がしてきた。
 
 受賞作の発表は応募締切日から3か月後だったが、応募したその日から受賞を信じて強く願った。
 夜寝る前、朝起きた時、家を出るとき、家に帰った時、1日に何度も受賞を願い続けた。
 毎日、毎日、願い続けた。
 他の応募者より1回でも多く願えば自分が受賞すると信じて願った。
 だから最後の1か月は1日に50回願うことを自分に課した。
 そして発表前日には1日に100回願った。
 
 わたしの願いよ、叶え!

 魂の叫びを音楽制作会社のある方角へ放った。