「ありがとう」と礼を言って店を出たが、階段を下りる間もまだボーっとしていた。
 あのメロディーが頭の中で鳴り続けて離れようとしなかったからだ。
 それは商店街を歩いている時も続き、夢遊病者になったかのようだった。
 しかし、突然足が止まった。
 右側に小さな書店が見えたからだ。
『未来書店』
 目が離せなくなったわたしは吸い寄せられるように中に入り、導かれるように週刊誌のコーナーに向かった。
 
 あの週刊誌があった。
 さっそく手に取ってページをめくると、新刊本の書評ページが現れた。
 すぐさまあの囲み広告を確認した。
 そして急いでレジに持っていってお金を払った。