「本当は無料にしたかったのですが、維持費の分だけ入園料を頂きました」

 それでも予想をはるかに超える会員が来場したという。遊歩道と小さな休憩所があるだけの公園なのに各自が弁当とお茶を持参し、ほとんどの人が半日を過ごしたという。

「入場いただいた会員の皆様のご要望を伺うためにアンケート用紙を準備しました。美顔・健やかパークを、会員様の、会員様による、会員様のための施設にしたかったからです。それで、多くの方に記入していただくためにちょっとした工夫をしました。アンケート用紙の表紙に大きな字で『社長が必ず見るアンケート』と書いたのです。するとびっくりするくらい多くの方がアンケートに記入していただきました。なんと、入場者の80パーセントです。そのアンケートに全部目を通しましたし、何度も読み返しました。その度にお客様の熱いお気持ちが伝わってきて、なんとしてでも実現させたいという想いが膨らんでいったのです」

 一番多かった要望は宿泊施設で、カフェの併設や、自然に癒されながらエステを受けたいという意見もかなりの数に上ったという。
 その他には美術館という意見もあったそうだ。
 しかし、これらにはかなりの投資が必要で、そう簡単に着手できるものではない。そ
 こで農園の着手から始めたそうだ。
 
「これも会員様のご提案です。家庭菜園をされている方からでした。アンケートには『健やかパークで作った野菜を食べたい。自分たちも参加できる農園を作っていただけませんか』と書かれていました。私は即決しました。そして、どうせやるなら無農薬農園にした方がいいと思いました。そのために先ず農業指導員を採用し、社員が指導を受けました。それが終わると、会員様にお声掛けしました。すると予想をはるかに超える応募がありました。今では数多くの会員様が野菜作りに参加されています。収穫された野菜を両手に持って嬉しそうに写真撮影されている会員様を見ると、本当に幸せな気持ちになります」

 社長も時々野菜作りに参加しているという。
 
 そのことをメモしていると、社長が急に立ち上がった。