「ですので、『美顔』という社名に込めた想いを会社の志にまとめました」

「志、ですか」

「そうです。志です。我が社がなんのために存在するのか、誰のために存在するのか、どういう想いで経営していくのか、売上や利益よりもはるかに重要なこと、それが志です」

 そして、一言一言(ひとことひとこと)ゆっくりと噛みしめるように声を発した。
 
「美しい顔は健やかな顔。健やかな顔は健やかな心と体。株式会社『美顔』は皆様の健やかに貢献し、美しい人生を応援します」

 それを聞いた瞬間、なんと素晴らしい志なのだろう、と感銘を受けたが、話はまだ続いていた。
 
「創業の原点は肌が敏感な人に合うスキンケア製品の開発でした。つまり、健やかな顔を実現することでした。次に挑戦しているのが、健やかな心と体の実現です。一つずつ順番にお話しします」

 わたしは目と耳とペンを握る手に神経を集中させた。