結城とは駅で別れた。
 最寄り駅で降りて自宅へ向かう途中、スーパーに寄って食料品を買う予定だったが、ボーっとしたまま店の前を通り過ぎてしまった。
 何も見えていなかった。
 意識があること(・・・・)(とら)われていたからだ。
 それは社長から聞いた二つの言葉が原因だった。
『古から引き継いだ意志』と『守り人』
 その言葉がどんどん大きくなって頭からはみ出しそうになった。
 すると父親の顔が脳裏に浮かんだ。
 とても厳しい表情だった。
 
 オヤジ……、
 
 わたしは唇を噛んだ。