しばらく検索したあと、わたしに向き直って、「ライターの仕事はどうですか?」と訊いてきた。
 思わず「ライター、ですか?」とオウム返しをすると、「そうです。ある出版社がライターの募集をしています。詳細をプリントアウトしますからあちらで読んでみてください」と無人のテーブルを指差した。
 
 プリントアウトを受け取って椅子に座った。
 大阪にある小さな出版社がライターを1名募集していると記されていた。
 仕事の内容は会社案内のパンフレットを作成するための取材と執筆、構成・編集だった。
 契約社員としての採用で、契約期間は1年間、次年度延長あり、と書かれていた。
 月給は19万8千円。
 週給2日制で、夏休みと年末年始休暇が各3日あった。
 
 もう一度読み返して、できそうかどうか判断して窓口へ戻り、「興味があります。できるかも知れません」と告げると、相談員が嬉しそうに頷いた。
 そして、「固定給でライター募集があるのはとても珍しいのですよ。ほとんどは原稿1本書いて何千円、半日拘束の取材で何千円、という募集です」と言って相談員は真っすぐわたしを見つめながら、「話を進めますね」と微笑んだ。