鎮静剤を投与されて深い眠りについていたわたしが目覚めたのは翌朝だった。
 嬉しいことに胃の痛みは消えていた。
 
 午後、胃の検査を受けた。
 検査結果は異状なしだった。
 
「明日には退院できると思います」

 医師の言葉に頷きながらも、心はどこかに飛んでいた。
          
 医師と看護師がいなくなった病室で寝たままボーっとしていた。
 夜になってもそれは続いた。
 
 これからどうすればいいんだろう……、

 考えても何も思い浮かばなかった。

 もう終わってしまったのかもしれない、

 人生の終焉(しゅうえん)を迎えているような気がした。

 どうしてこんなことになってしまったのだろう、

 原因はわかっていたが、問わずにはいられなかった。

 素直に家を継いでいれば……、

 後悔が逆流する胃液のようになって心を痛めつけた。

 もう一度やり直したい、

 短い人生を振り返ってため息をついた。