すべきことをすべて済ませて、逃げるように東京を飛び出した。
 文字通り、関西への逃避行だ。
 しかし、新幹線に乗る余裕はないので安い夜行バスに飛び乗った。
 片道2,980円。
 二つの大きな布袋だけが旅の相棒だった。
 
 一つだけ空いていた窓際の席に座ると、眩く輝く高層ビルが見えた。
 
 東京落ちか……、
 
 ため息が出ると、灯りが滲んで見えた。