2週間に渡る取材を終えてノートを見ながら音声と写真と動画の編集作業に着手したが、それは簡単なものではなかった。
 先ず膨大(ぼうだい)な資料の中からインパクトのあるものを選び出さなければならないし、それらを多くの人が興味を持ってくれるものにまとめていかなければならない。
 慎重の上にも慎重を期さなければならないのだ。
 しかし、慎重にやるだけではインパクトは生まれない。
 時には大胆な発想も必要なのだ。
 見る人を引き込むような演出が必要なのだ。
 平均点レベルや〈よくできました〉レベルでは意味がないのだ。
 突出したものに仕上げなければならないのだ。
 もし、それができなければ次はないだろう。
 誰の関心も引かずに埋もれてしまってどこからも問い合わせが来ないに違いない。
 それに、そんなことになったら聖徳太子から頂いた名を汚すことになる。
 それだけはしてはいけない。
 わたしは〈背水の陣〉という言葉を背負って一心不乱に作業に没頭した。