信用取引とは、証券会社に保証金を預けることによって保証金の約3.3倍までの取引をすることができるものである。
 つまり、100万円の保証金を預ければ330万円までの取引ができることになる。
 少ない自己資金で大きな商売ができることから、レバレッジ((てこ))とも呼ばれている。
 言い換えれば、他人の(ふんどし)で相撲を取ることができるのである。
 ただ、信用取引で購入した株が基準を超えて値下がりした場合は追証(おいしょう)とよばれる追加の保証金を払わなければいけないことになっている。
 更に、信用で借りた金は6か月以内に証券会社に返済する義務がある。
 もし利益が出なくても6か月経ったら全額返済しなければならない。
 その場合、損が発生する可能性があることを頭に入れておく必要がある。
 つまり、うまくいけば大きな儲けを手にできるが、最悪の場合は大きな借金を背負う可能性があるということだ。
 
 わたしはリスクに目を瞑り、大きなリターンの可能性に賭けることにした。
 株式投資を始めてから一度も損をしたことがなかったので、自分には才能があると思っていた。
 だから、大きな勝負をしたかった。
 負けるとは露ほどにも思わなかった。