目を覚ました時、背中に毛布が掛けられていた。
 台所で眠り込んだらしい。
 
「一人で飲んだの?」

 妻が冷酒のボトルとぐい?みを洗っていた。

「まあね」

 あのお方との出来事は伏せておいた方がいいと思った。

「顔を洗ってきたら?」

「そうだね」

 洗面所に行って、冷水で顔を洗うと気分がすっきりしてきた。
 タオルで拭いて鏡に映すと、覚悟のある顔がそこにいた。
 すると、あのお方から授けられた言葉が蘇ってきた。
 自らの使命をこれほど的確に表す言葉はないと思った。
 よし! と小さく声を発して妻の元へ戻った。