翌週の月曜日の夕方、取材先から帰社すると、上司から思わぬことを告げられた。
 妹が会社に来たというのだ。
 用件は仕事の依頼だという。
 概要を聞いて驚いた。
 わたしは定時になるのを待ちかねて実家へと急いだ。
 
「あら、いらっしゃい」

 オフクロがびっくりしたような顔で迎えてくれた。

「宮はいる?」

 オフクロは頷いて階段の方に顔を向けた。
 自分の部屋にいるらしい。
 わたしは靴を脱いで2階へ上がり、妹の部屋の前に立ってノックを二度した。
 
「宮、ちょっといいかな」

「あっ、お兄ちゃん? 丁度良かった」

 ドアが開くと、笑顔が迎えてくれた。

「どうぞ、入って」

 上下スウェット姿の妹に促されて中に入ったが、この部屋に入るのは久し振りだったので「お久し振りです」と部屋に向かって頭を下げると、「変なの」と妹が笑った。