明日から海老センを見る度に、こいつそのうち海老の妖精になるんだ、と思えると、少しだけ心が晴れた。


黒崎心桃。見てわかる通り、れっきとした女子。しっかり女子。生まれてこの方、ずっと女子。


イケメンにモテたいし、イケメンと付き合いたし、甘いものしか食べたくないし、でも太りたくないし、楽して可愛くなりたいし、彼氏は常に欲しいし、私よりもブスな子に私の彼氏よりかっこいい彼氏が出来たらムカつくし。

強欲でありふれた、その辺にいる普通〜〜〜の女子。

それが私である。


「今日の合コン微妙じゃなかった?」


夜の街の片隅で、鬱憤を夜風に晒す。

「それな。二次会とか無理寄りの無理」

「だよね〜!Gran行く?」

消化不良を感じたのは私だけでは無いらしい。ゆり葉とゆり葉の友人(微妙だった合コンの共闘者)の密談に「Gran?」と首を傾げた。聞きなれないワードだったからだ。

「心桃も行く?楽しいよ〜」

ゆり葉が唆すので、ちょろい私はすぐに「行く!」と頷いた。ラウンド・ツーの開幕である。