「でもゆり葉は教えてくれたじゃん。対面座位から始まるえっちは最高でしょ?」

「言ったけど。最高だけど。箱崎は教えないでしょ」

「教えてくれないか。でも、菜絆が対面座位好きだって言ったら、対面座位がちょっと尊いものにならない?」

「うーん……それより青葉とか水城とか地味系の子達が" 対面座位が好き "って言う方のが尊いかな」

「それは尊いね。対面座位が神聖なものになるね」


今日の放課後座談会の結論。対面座位は、みんな大好き。


「おーい。スカートの中身盗撮されますよ君たち」


私とゆり葉が勝手に結論づけていると、不協和音が教室に響く。出入口のドアに重心をずらし、怠そうに注意するのは古典教員の海老センである。

今日もだるっとしたトレーナーと、下は三本ラインのジャージ。ペタペタのサンダルに、分厚いメガネ、ぼさぼさの寝癖ヘアー。

「へんたーい」

「はいはい変態〜。黒崎、課題来週までな〜。未提出の場合放課後補習だからよろしくー」

「はーい」

まるで高校教員とは思えないその人に適当に相槌を打つと、海老センは適当に納得をし、適当に行ってしまった。