綺麗な見た目をしておいて、意外とえげつないことをする若松耀太。人は見た目によらない。
「かわいい子には相応な彼氏がいるってことだよ」
ゆり葉が要約した。うわ、このリズ様美しすぎる、とスマホを見ている。先日往年の名作を見て以来、大女優ブームがゆり葉の中では来ているらしい。ブームはいいとして、可愛い子には、の解説には納得がいかない。
「待って、じゃあ、ゆり葉にも若松耀太並にイケメンな彼氏がいるって理屈にならない?」
「いやいや、あたし若松と付き合おうと思わないもんな」
「なんで?若松カッコイイじゃん」
「顔はね。でも教科書通りのえっちしかしなさそうじゃん?つまんなさそう」
「ええ、どっちかと言うと、若松はオラオラっぽいけどね」
「それ言うなら吉塚の方がオラオラでしょ」
「悠衣は間違いなくオラオラ系だよね?知らんけど」
「知らんけどね。あいつセフレ作んないもんなー、彼女いないくせに、どこで処理してんだろ」
「他校じゃね?」と私が言うと、スマホを見ながらゆり葉はくすくすと笑い「ああ、他校ね」と納得をした。悠衣は他校にセフがいる、と共通認識が生まれる。
「とりあえず、今後の参考に、今度菜絆にどんなえっちしてるか聞いてみよ」
「箱崎に聞けるあんたの距離感バグってるから」
バグっているらしい。
「教えくれないかな?」と、ずるずると教室の床に腰を落とすと「教えんでしょ」と、ゆり葉も同じく、ぺたりと座り込む。