「今日の合コン、菜絆来てくれたら良かったんだけどな〜。悠衣が邪魔するから誘えなかったじゃんね」

今も思う。惜しいことをしたと。もう少し押せば、来てくれたんじゃないのかと。

怒りの矛先は、自ずと邪魔をしてくれた悠衣へ向かう。

「てか心桃、箱崎誘うの強すぎてあれはあたしもビビったよ」

「案外来てくれる可能性あるじゃん」

「ないない。てか、来たとわかった時の若松が怖すぎるからね?あたしまで巻き添えくらわすのやめてよね」

「ごめんってー、ちょっと気になっただけじゃんか〜」

軽く舌を出して謝罪をした。多分、未遂なので許してくれるだろう。

同学年の中で、有名な話がある。

若松耀太は彼女を好きすぎるあまり、異性を彼女に寄せつけない。

何も知らない男子が話しかけようものならすぐさま圧力がかけられ、告白しようとするならば必ず阻止される。

特に今年は彼女と別のクラスなので、うちのクラスの男子はほぼ若松に買収されているらしい。

悠衣もこの件に噛んでいるとか、いないとか。

そういったことを中学の頃から繰り返しているらしい。

王子様に守られている、正真正銘のプリンセス・菜絆。羨望される存在。

でも、正直なところ、受け身な女って苦手。嫌いではなく、相容れない感じが苦手。

守られていることを知らずに過ごしているという、超お姫様。

羨ましくてもはやムカつくレベル。だから、別れちゃえばいいのにってたまーに思う。たまーーに。

これを言えば、どこで反感を買うか分からないので、言いませんけど。