疑問その一。

なんで、四組と七組は校舎が離れているのか。おかげで、海老センに聞きたいことがあったのに、反対側の校舎から、女子生徒に話しかけられている海老センを眺めるしか出来なかったじゃないの。


疑問その二。

なんで、古典の授業は週に二回しかないのか。しかも、木曜と金曜って何。舐めてんの?週末立て続けにすることないじゃんか。


「課題提出しなかったから、雑用しに来ましたー」


痺れを切らした私は、単独で乗り込んだ。課題未提出の権限を最大限に生かして。

古典準備室とかいう、存在感皆無の教室にはもちろん海老センの机しかなくて、四日ぶりに会う海老せんは、今日も幽霊みたいにひょろっとして、ぼさぼさの髪型だった。前回のイケメンは幻だったのか。

「間に合ってるから帰ってくださーい」

「帰りませーん」

「はあ、めんどくせ……」

脱力したように椅子に浅く腰掛けた海老センは脚を組み、膝を守るように手を組む。

華奢な手首に巻かれたゴツい腕時計は、正直性癖。骨ばった指もなんかエロい。ぺたっとしたサンダルはよく見ればスポーツブランドのものだし、細い腰には色気を感じる。