週明け、ゆり葉に海老センの答え合わせをしたかったけれどどうやら遅刻らしく、朝一会うことは叶わなかった。

「やば、点数悪、」
「つか今回のテスト、良い点を取らせる気がない」
「それ」

クラスのどこからか聞こえる声。返された小テストの結果を一瞥し、特段に感想を持つ間もなく、今日は古典ないな〜、とか、別の方向に興味を抱く。

時間割をこんなに気にしたのも、高二にして初めてだ。


「黒崎さん、これ、文化祭の役割なんだけど、各クラス宛の案内のレイアウトお願いできるかな?」

ゆり葉が来ないまま休み時間となり、いつも通り、窓辺で屯っていた。文化祭実行委員らしい青葉さんから仕事を振られ「おっけー」と二つ返事で頷く。

学校に期待はしていないけれど、学校行事は好きだ。

「腹減ったー」

心躍らせていれば、頭部に重みを感じた。声で理解する。悠衣だ。

「ちょっと、頭に顎乗せるの止めてよね!身長マウントか!」

「そー。黒崎は顎乗せんのに丁度いいわ〜。つか青葉と何話してたの」

「なんか文化祭のこと。悠衣にも役回ってきたでしょ?」

「さあ、知らね」

「学校行事に興味を持とうよ!」

「どうでもいい」

「(じゃあなんで聞いた!?)」

マイペースな悠衣は、「悠衣くーん、お菓子あげるー」という声に反応して、女子の集団へと向かった。今日も餌付けされている。