海老センの部屋はすっきりと片付いていた。間接照明や、部屋の色合い、センスがあるなと思える部屋だった。同世代の男子の部屋とは全然違う。違いすぎる。それが妙に腹立たしかった。

ドアから背中を離した海老センは煙草を携帯灰皿に押し潰し、私を見遣る。


「なんとなーくお前ん家の事情は聞いてるから、てきと〜に時間潰して帰れ」


さらにはそのゆる〜い口調で聞き捨てならないことを言うのだ。聞き捨てならない。

「は!?聞いてんの!?」

「いつ誰の担任に当たるかこっちも分かんねえから、把握して損はねえっしょ」

「変態!えっち!」

「はいはい変態変態〜。鍵すぐに閉めろよ。んで、帰る時鍵はポストな」

「は〜い」

海老センは簡単に説明すると、私を置いてどこかへ行ってしまった。本当に一人にするつもりらしい。

ローテーブルと、背の低いベッド。低い革張りのソファーに腰掛ける。

他人の部屋に入ると、どこかに監視カメラが設置されているのでは疑うのは私だけだろうか。

キョロキョロと周囲を見渡し、もし監視カメラがあればこの挙動不審な行動も筒抜けであることを想像して止めた。